2011年2月16日水曜日

これからの「正義」の話をしよう

これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学
これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学

もはや今更な本。ご存知、去年2010年に話題となった哲学本。

私も2010年夏頃に1度読んだのだが、マイケル・サンデル氏がハーバード大学で行った授業を12回に分けてテレビ放送した「ハーバード白熱教室」は当時見れなかった。その番組が2011年の正月に再放送されたので、HDDに撮り溜め、まとめて観るついでに本も一緒に読み返してみた。

本書の内容と共に、「ハーバード白熱教室」の内容についても触れてみたいと思う。

さて、前述したが、著者はマイケル・サンデル氏。
ハーバード大学で政治哲学の授業を受け持っている人気講師とのこと。
白熱教室を観ていても、その人気ぶりというか、生徒達からリスペクトされているのがよく伝わってきた。

そんなサンデル氏が、「正義」について真正面から向き合ったのが本書。
まずは目次を。
第1章 正しいことをする
第2章 最大幸福原理──功利主義
第3章 私は私のものか?──リバタリアニズム(自由至上主義)
第4章 雇われ助っ人──市場と倫理
第5章 重要なのは動機──イマヌエル・カント
第6章 平等をめぐる議論――ジョン・ロールズ
第7章 アファーマティブ・アクションをめぐる論争
第8章 誰が何に値するか?──アリストテレス
第9章 たがいに負うものは何か?――忠誠のジレンマ
第10章 正義と共通善

本書では、過去の様々な哲学者や哲学原理を説明し、その考えの利点/欠点を論じている。
ジェレミー・ベンサム、ジョン・スチュアート・ミル、ジョン・ロック、イマヌエル・カント、ジョン・ロールズ、そしてアリストテレス。

また、哲学原理としては、功利主義自由至上主義(リバタリアニズム)共同体主義(コミュニタリアニズム)の3つが主に説明されている。

哲学者のそれぞれの思想は、哲学原理を説いている人もいれば、カントのように「道徳性」について突き詰めて考えた人もいて様々。。しかし、ある程度は3つの原理に区分けして良いように思える。この3つの考え方にはそれぞれ以下の欠点がある。
・功利主義  -- 帰結(結果良ければOK)の限界
・自由至上主義 -- 契約の限界
・共同体主義 -- 善の限界

この本のテーマは「正義」。
「正義」は「」の概念と切り離すことが出来ず、「善い生」は「道徳性」と切り離せないとサンデル氏は説く。功利主義も自由至上主義も、利点はあるのでケースバイケースで有効。日常生活でも十分使える。しかし、そこから「道徳性」を導き出すことが出来ない。

功利主義は全体の「効用」を重視するあまり、切り捨てられる側の人間性(人格)を無視してしまう。他全員のためにお前死んでくれ、と言われて「はい」と言える人はそうそう居ない。

自由至上主義の「自己所有権」の概念は強力。「政府」は絶対ではないので、犯してはならない個人の権利があるとすれば、「自己所有権」(あとは「生存権」)はそれに当たる、という考えはすごく納得ができる。

自由至上主義は簡単に言えば、「義務」を果たせば(他人に迷惑をかけなければ)基本何をやってもOK、という考え方。それがイコール「自由」(カントの自由は全く別の概念だが、カントの考えは理解はできるけども本筋から逸れるので無視することにする(笑))。「義務」は「契約」により発生し、「契約」は双方の「同意」により成立する。この「同意」自体には道徳的な力がある。しかし、突き詰めて考えると、「同意」さえあれば、自分の臓器を売っても良いし、麻薬を使っても良いし、人を殺しても良いことになる。そこには「規範(道徳)」が生まれる余地が無い。最後は論理的に「無政府主義」にたどり着く。

「自己所有権」は誰もが生まれ持った「自然権」である、という考えは理解できるが、その考えをある種の暴力装置(笑)で守っているのが「政府」の役割だ。「国」という枠組みがあるからこそ、我々は「自己所有権」を主張していられる。無政府状態だと「所有権」など主張しても無意味。暴力で奪われるだけなのだから。

そこに、自由至上主義の限界(矛盾)があるように思う。

さて、共同体主義だが、「政府(国)」も1つのコミュニティではあるので、そこには「規範(法律)」がある。そして、歴史あるコミュニティであればあるほど、「物語」が生まれ、「伝統」や「慣習」も作られる。「伝統」や「慣習」は暗黙ルール、その目的は「コミュニティを存続させるため」にある。

本書で説明される、以下3つの重要な道徳的義務がある。
①自然的義務:普遍的。合意を必要としない。
②自発的責務:個別的。合意を必要とする。
③連帯の責務:個別的。合意を必要としない。

①は「共通善」に当たるか?②は個々人の「契約」。そして、③が「伝統」や「慣習」に当たる。コミュニティとしての連帯を維持するための果たすべき責務はたしかに存在する。

3つの原理の中で一番腑に落ちる考え方ではあるが、1つ問題がある。
「連帯の責務」は個別的であるゆえに、複数の「共同体の連帯」が存在する。それぞれ伝統や慣習があり、それぞれ「道徳観」が異なる。よって、当然「善き生」の概念も違う。つまり、複数の「正義」が存在するということだ。

それでは「正義」と「正義」がぶつかったらどうなるか?
言うまでも無い。過去の歴史が証明している。

ここが共同体主義の限界でもある。

結局サンデル氏は絶対普遍な「正義(共通善)」は無いと言う。
私もそう思う。これだけ価値観が多様化し、国家だけでなく民族や宗教も異なれば、普遍的な「正義」など存在しえない。しかし、サンデル氏が提唱するように、違う価値観を避けずに、相互に理解しあうため積極的に関与すべきだ。「無知」は「不信」に、「不信」は「恐れ」に、「恐れ」は「憎しみ」に簡単に変化する。だからこそ、「相互理解」が大事なのだろう。

さて、今回改めて「ハーバード白熱教室」も一緒に観たわけだが、サンデル氏の考えを本と番組両方を通して観ると、より理解が深まる。そして、生徒達と真剣に議論し相互理解しようとする姿勢は感動すら覚える。最終回で生徒達からスタンディングオベーション受けたのも当然。また、生徒達のレベル(意識)の高さもさすがハーバード大学。学生ということは18歳か19歳くらいだろうが、知識/思考レベルが、日本人の最高レベルの同世代と比較してどれくらいの差があるんだろう?と、ちょっと怖くなった。単なる偏差値、頭の回転という意味ではなく、政治に関心を持つ「民度の高さ」という意味で、その差は明らかのように感じてしまった。追いつくのにあと数十年はかかるだろうな。。

ついでに「ハーバード白熱教室」の全12回のテーマも以下に記載しておくことにする。
第1回 殺人に正義はあるか
レクチャー1 犠牲になる命を選べるか
レクチャー2 サバイバルのための「殺人」

第2回 命に値段をつけられるか
レクチャー1 ある企業のあやまち
レクチャー2 高級な「喜び」 低級な「喜び」

第3回 「富」は誰のもの?
レクチャー1 「課税」に正義はあるか?
レクチャー2 「私」を所有してるのはだれ?

第4回 この土地は誰のもの?
レクチャー1 土地略奪に正義はあるか
レクチャー2 社会に入る「同意」

第5回 お金で買えるもの 買えないもの
レクチャー1 兵士は金で雇えるか
レクチャー2 母性 売り出し中

第6回 動機と結果 どちらが大切?
レクチャー1 自分の動機に注意
レクチャー2 道徳性の最高原理

第7回 嘘をつかない練習
レクチャー1 「嘘」の教訓
レクチャー2 契約は契約だ

第8回 能力主義に正義はない?
レクチャー1 勝者に課せられるもの
レクチャー2 私の報酬をきめるのは…

第9回 入学資格を議論する
レクチャー1 私がなぜ不合格?
レクチャー2 最高のフルートは誰の手に?

第10回 アリストテレスは死んでない
レクチャー1 ゴルフの目的は歩くこと?
レクチャー2 奴隷制に正義あり?

第11回 愛国心と正義 どちらが大切?
レクチャー1 善と善が衝突する時
レクチャー2 愛国心のジレンマ

第12回 善き生を追求する
レクチャー1 同姓結婚を議論する
レクチャー2 正義へのアプローチ

ところで、改めて読んでみたが、本書はけして簡単な内容ではない。
こんな本が昨年売れた理由はなんだろうか?まぁ、買った人全員が読んでるわけではないと思うが(笑)
推測だが、おそらくバブル以降「地域コミュニティ」が破壊され、バラバラの個がむき出しになってしまった日本社会で、その中でも就職難もありさらに将来不安を感じている若者達が、確固たる価値観にすがるために「正義」という言葉に引かれた、というのが理由ではないだろうか??

しかし、この本には普遍的、絶対的な「正義」は提示されていない。
大事なのは、その「正義」を自分自身で見つけるためのスタンスを維持する精神力(モチベーション)だったり、基礎学力だったり、居場所を確認できる共同体(コミュニティ)だったりする。いずれにせよ、一朝一夕で手に入るものではない。長い時間が必要。私は今の40~60代にはほとんど何も期待していないので、我々30代が支え、20代10代の若い人達が、その次の世代へ何かしらの社会資産(ソーシャルヘリテイジ)を受け渡せるよう、今は踏ん張り続けるしかないのかなー、と改めて感じた。

ぜひ、このブログを読んだあなたも、本書を読んで「正義(善)」について考えてみてほしい。
時間をかけるだけの価値は必ずあると保証する。


※「ハーバード白熱教室」の動画をWeb上にUPしておきました。
あくまで自分用なので公開はしていないですが、連絡もらえればダウンロードできるよう設定変えますので、興味ある方はご連絡ください。

2011年2月3日木曜日

からだの取扱説明書

からだの取扱説明書
からだの取扱説明書

呉清忠氏の著者。

陰陽道とは何か?」を読んで、陰陽五行論についてさわりだけ理解した後に、その陰陽五行論を健康管理に使う理論を知りたいと思い手に取った本。陰陽五行論を活用した健康管理=中国の医学、つまり「東洋医学」の解説書と言ってもいいかな?

著書はシステム工学を学んでおられ、その考え方を陰陽五行にも応用して解説されている。自分はシステム工学は学んではいないが、コンピュータ業界にいる身なので、その説明はすごく理解しやすかった。

以下は目次。
序章 中国医学をシステム工学の立場から見てみる
第1章 現代医学への素朴な疑問
第2章 「陰陽五行説」は人体のシステムをトータルに捉える
第3章 「血気エネルギーシステム」を熟知して健康を保つ
第4章 体の冷え「寒気」こそ、万病の素
第5章 病気の原因を正しく知る
第6章 健康を維持するために日常生活で注意すべきこと
第7章 肥満を根本的に解消する
第8章 慢性病は、こうして改善する
終章 西洋医学だけに頼っていると、健康で長生きはできない

この本の肝はこの図。
本書で紹介されてる図を若干編集してまとめてみた。


体の「自己修復能力」を手助けする
という考え方が中国医学の肝と言っていい。
無理やり「改造」する西洋医学との一番の違いでもある。

「五臓六腑」と「四肢五官」(「五臓六腑」の病気は「四肢五官」に症状として現れる)、各機能別の機関、経絡/血管/神経/リンパシステムなど、からだ全体を1つの完全なシステムとして捉える。コンピュータシステムと同じ。大変わかりやすい。

「血気」エネルギー、つまり「血液」の量を増やすという考え方も、中国医学の面白いところ。人間にとっての血液は、車にとってのガソリンに当たる。だからこそ、血液を造り出す「睡眠(早寝早起き)」を重視し、血液がより流れやすくなるよう「運動」を進める。体の冷え「寒気」こそ万病の元、という考えも同じ。「血液」が流れなくなると体は冷えるし、肩だけでなく様々な箇所でコリも出てくる。

この「血気エネルギー」には5段階あるとのこと。
「健康」⇒「陽虚」⇒「陰虚火重」⇒「陰陽両虚」⇒「血気枯渇」の5段階。

日々作られる「陽」が無くなり、ストックされた「陰」が無くなり、その両方が無くなって代替物で補い、最後は血気そのものが無くなる…という段階。フローとストック、借金(代替物)、最後は破産と、経済の概念が応用できるので、この考えは理解しやすい。

それと、伝統的な中国医学の治療法に、「砭(ぼう)」「針」「灸」「薬」の4種類があり、それぞれに優先順位が付いているのが面白い。なお、「砭」は「刮痧(かっさ)」とも言い「マッサージ」を指す。

つまり、最初にマッサージ、それから針治療、次にお灸、そして最後に薬、というわけだ。自分はIT関係の仕事してることもあって始終パソコン触っており、昔からマッサージのお世話になってるので、この考え方は実感できる。我々は、すぐ何でも「薬」に頼ろうとする西洋医学の考えに、少し疑問を持った方が良い。

さて、昨今はジョギングする人が増え、にわかに健康ブームが到来してる。
「コミュニケーション」「体験のシェア」目的や、将来(老後)へ不安の表れなのかもしれないが、人々の健康への意識が高まっているのは確かと言える。

しかし、健康に生きる上で、一般に知られている西洋医学だけではどうしても限界がある、そのコトに大半の人は気付き始めているように思う。とは言え、本書で紹介してる東洋(中国)医学だけで良いというわけでもない。双方補完しあって、初めて自分が生まれたときから付き合っているこの「からだ」について、総合的な理解が出来るんじゃないだろうか?

人間の「からだ」は奥が深く、まだまだ知らないことばかり。
けど、1つ1つ学んでいくことはすごく面白い!!
その思いを改めて認識できたことが、この本読んだ一番の収穫かもしれない。

「からだ」の扱い方について、この「東洋医学」の初歩の知識をベースに今後もっと経験を通して理解度上げていこうと思う。その上で、早寝早起き、適度な運動(ジョギングとか)や、バランスの良い食事、サプリメントを使った栄養補給、本書で紹介されてた「ツボ押し」健康法や、インドの「ヨガ」なんかも取り入れつつ、自分なりの健康法を編み出してみようかなー、と思うところ。

健康に少しでも関心ある人であれば、この本は読んでおいた方が良いです。

2011年1月25日火曜日

シェア <共有>からビジネスを生みだす新戦略

シェア <共有>からビジネスを生みだす新戦略
シェア <共有>からビジネスを生みだす新戦略

レイチェル・ボッツマンとルー・ロジャースの共著。
ここ数年観た本の中でも1番と言って良いくらいのヒット作!素晴らしい名著!!

何を仕事の軸にして生きていこうか、今年(今後)の目標を立てる上で色々と悩んでいたのだけど、大げさではなくこの本を見て方向性が朧気ながらも見えてきた気がする。それくらい影響を受けた。

ちょっと長いが以下に目次。
イントロダクション──私のものはあなたのもの
■パート1 新しいシェアが生まれるまで
第 一 章
もうたくさんだ
「使い捨て生活」の始まり/レンタル倉庫/自分の所有物に所有される

第 二 章
ハイパー消費の時代
ハイパー消費/説得の力/ディドロ効果/今買って後払い/ライフサイクルの法則/ゴミをデザインする/「あとひとつ」症候群

第 三 章
「私」世代から「みんな」世代へ
昔の美徳を取り戻す/ローカル市場の再興/「みんな」世代/快適にシェアする/数の力/インターネットを使ってインターネットから離れる/消費主義を超えてまたつながる


■パート2 グランズウェル
第 四 章
コラボ消費の登場
コラボ消費のシステム/プロダクト=サービス・システム(PSS)/再配分市場/コラボ的ライフスタイル/コラボ消費の四大原則/社会的承認/余剰キャパシティの活用/共有
資源の尊重/他者との信頼

第 五 章
所有よりもすばらしい──プロダクト=サービス・システム
「脱所有」/レンタル革命/メンバーみんなの集合知/P2Pレンタル/シェアへの抵抗感をなくす/サービス・エンヴィー/カーシェアを「かわいそう」から「かっこいい」に/「搾取し、製造し、廃棄する」サイクルを止める/大規模なシステムをつくり直す

第 六 章
因果応報──再分配市場
「取引コスト」がなくなる日/需要と供給のマッチング/脱消費/私があなたを助ければ、だれかが私を助けてくれる/邪魔をしない/心の中の「公平さ」のものさし/未来の影/中古品の価値/キミにこれをあげるから、ボクにあれをちょうだい/スワップ・トレードの六次のへだたり

第 七 章
みんな一緒──コラボ的ライフスタイル
取引しよう/コミュニティ通貨/ソーシャルレンディング市場/イーベイ+ペイパル+マッチ・ドットコム/別々に同じ場所で働く/シェアをカウンターカルチャーではなく、カルチャーのコアにすること/ヴァーチャルなコミュニティをリアルな世界で実現する


■パート3 何が起こるか?
第 八 章
コラボ・デザイン
最初にシステムをつくる/これがほんとの一生モノ

第 九 章
コミュニティはブランドだ
ブランド伝道師たち/自由にさせる/ノーブランドというブランド

第 十 章
シェアの進化
消費者のマインドセットを変える/評判の口座/価値を定義しなおす/歴史的なターニングポイント

この本の主張はかなりシンプル。
「様々なコトをシェアしましょう、これからの時代は」ということ。

まずはパート1で、これまでの消費社会がどれくらいモノを無駄に使ってきたのかを説明している。これは大抵の人であれば実感できるはず。それくらい我々は様々な資源を無駄にしてる。食べ物、服、電化製品などのモノに留まらず、気温(室温)や時間、空間(スペース)などなど。無くても良いモノに囲まれて生活している。アメリカの例だが、レンタル倉庫などその典型。その無駄の代償は、森林や川や海や空気や土などの汚染。今や自然の治癒力でも回復出来ないレベルにまで達している。私はそれほどエコを気にする方ではないが、それでも無駄が多い、自然に悪いなーと感じるもの。。

で、著者はパート2で「コラボ消費=シェア」という概念を提唱する。

大きな軸は以下の3つ。
・プロダクト=サービス・システム(PSS)
・再分配市場
・コラボ的ライフスタイル

1つ目の「PSS」は、ある商品(プロダクト)を所有しなくても(「脱所有」)利用した分だけ費用を払えば良いという考え方。あまり使っていない私有物を、シェアすることで最大限に利用できる。車や自転車やブランド品、太陽光発電、おもちゃ、映画、P2Pなど。たしかに、カーシェアなんかは、都会では最近良く聞くようになった。駐車代のこと考えると、自家用車持つのはアホらしいもんな。。

2つ目の「再分配(市場)」は、5つの「R」(リデュース・リサイクル・リユース・リペア・リディストリビュート)と紹介されている。要するに「中古市場」のことだ。これは日本にもあるのでイメージしやすい。Yahooオークションが典型。ただし、今までの中古市場と違うのが「お金」を介さなくても良いこと。物々交換もあり。地域通貨やポイントなども。また、このシステムでは、ヤフオク同様、「評判」が決定的に大事。「私があなたを助ければ、だれかが私を助けてくれる」という考え方がベースにある。だからこそ「評判」が低い、他人を助けない人とは誰も繋がらなくなる。

3つ目の「コラボ的ライフスタイル」は、目に見えにくいモノ、時間や空間、技術やお金などの資産を共有する考え方。地域レベルで広がっているらしい。時間のシェアは読書共有(シェア・リーディング)だったり、空間は車の空きスペースを利用したサービスだったり、技術(知識)は何か別のモノと交換したり、お金もソーシャル・レンディングなど、銀行を介さずにピア・ツー・ピア(P2P)でお金の貸し借りを行ったりするサービスが既に世界では始まっている。

また、上記3つの軸に共通する、4つの原則として以下を挙げる。
・クリティカル・マス
・余剰キャパシティ
・共有資源の尊重
・他者への信頼

「クリティカル・マス」に到達する時点が「ティッピング・ポイント」。その手前には「キャズム(溝)」があるが、そのキャズム超えを果たせば「ティッピング・ポイント」に到達できる。やはりそれなりの規模は必要。それだけ選択肢が多くなるわけだし。コミュニティへの参加人数多ければ、「仲間意識」も刺激されてより強い動機にもなる。

「余剰キャパシティ」は、コラボ消費の肝と言っていい。
人々が自分の「余剰キャパシティ(エネルギー、スペース、モノ、食品、スキルなど)」をどのように分配し直すか?
コラボ消費(シェア)とは、結局この考えに尽きる。

「共有資源」=コモンズの尊重、社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)の重要性は今更言うまでもない。また、「他者への信頼」も同様。そもそもシェアは他者を信頼できなければ始まらない。

パート3では、実際にこのシェアモデルをどうやって持続可能(サステナビル)なシステムにするか、という方法論を紹介している。ある工業デザインの教授が提唱している「利用の円滑さ」「サービスの複製可能性」「アクセスの多様性」「コミュニケーションの強化」という4つの要素はすごく興味深い。この4要素は実際に運用していく上で必要か。。サービス考える上で参考にさせてもらおう。


・・さて、1つ1つ本書の内容を追ってったが、この全てを実現しているのが「インターネット」、IT技術というのが何とも素晴らしい。余剰キャパシティがどれだけあっても、「マッチング」出来なければ意味が無い。「需要」と「供給」のマッチング。IT技術はこの「取引コスト」をほぼゼロにしてくれる。IT業界で働く身として、自分がその大きなうねり(グランズウェル)の中にいると思うだけで楽しくなってくる!!

また、大きな流れとして「中間業種」が無くなっていく、というのは良い傾向。
私は、役に立たない会社が間に入ってるだけで中抜きするのが一番頭にくる。何の役にも立ってないだろ?おまえら?と思うコトがよくあるし。広告代理店などその典型だが、リアルプロダクトを作ってる人達より中抜き業者の方が稼いでいる現状は明らかにおかしいでしょ。

銀行も同じ。中抜き業種だ。
しかも顧客は銀行に対してお金を貸しているのに、お金引き出す(返してもらう)のにさらにお金がかかるなんて仕組みは「悪徳商法」でしかない。以前「洗脳支配」や「金融のしくみは全部ロスチャイルドが作った」を読んで、「信用創造」や「金利(利子)」の仕組みは詐欺だということを学んだが、この「リアルマネー」の嘘臭さに、リーマンショックが契機となって、皆が気付き始めているのではないのかしら?P2Pで個々人を結ぶ「ソーシャル・レンディング」や、「リアルマネー」を介さない物々交換などの新しい動きの裏には、そんな背景があるのかも?と考えるのは、ちょっと楽観的すぎるかな。。

いずれにせよ、重要なのは「信頼」だ。

実は今の日本では、この他者への「信頼」が一番ハードルが高いんじゃないか?と少し心配だったりする。

間違いなく「個人情報保護法」という悪法のせいだが、学校では住所を掲載したくないというバカな大人の要望を受けて学級名簿すら作れなくなってると聞く。そして、仮にあなたが今一人暮らしだったとして、隣に住んでる人の名前を知ってるか??ちなみに私は知らない。改札にもポストにも名前が全く書かれていないんだもの。これでどうやって「信頼」関係を築けるんだ?

FacebookやTwitterなど、最近のソーシャルメディアは実名が当たり前になっている。まぁ、Facebookという名前の通り、顔写真や本名を晒さなければ、これらのツールは使う意味が無いのだけど。はっきり言って、隣に住んでる名前の知らない人より、Facebookで名前と顔を晒しFriend登録している遠くに住んでる人の方が信頼できる(笑)

ただ、その人の顔が見えて信頼できれば距離は関係無いのだけど、「共同体(コミュニティ)」の1つとして近くの「地域」はベースにするべき。。

様々なモノをシェアし、「信頼」できる人達と複数のコミュニティを築き、自分達の居場所を作ることが出来るか・・この本を読み、今後その可能性を探っていきたいという想いを強く認識できた。

今年の始めに絶対に絶対に読んでおいた方が良い本です!!!!

2011年1月21日金曜日

なぜ韓国は、パチンコを全廃できたのか

なぜ韓国は、パチンコを全廃できたのか(祥伝社新書226)
なぜ韓国は、パチンコを全廃できたのか(祥伝社新書226)

若宮健 氏の著書。

タイトル通り、韓国は2006年にパチンコを全廃したらしい。
こんなニュースは日本のマスコミでは全く報道されていないので、今まで知らなかった。流行っていたことすら知らない。

とりあえず、事実を知りたい。そう思って本書を読んでみた。

まずは目次。
一章 なぜ韓国は、パチンコを全廃できたのか
二章 なぜパチンコは、廃止されねばならないのか
三章 なぜ日本は、パチンコを廃止できないのか

大変わかりやすい構成。
韓国が廃止できた理由 ⇒ パチンコが廃止されるべき理由 ⇒ 日本で実行できない理由、という流れ。

韓国では「メダルチギ」という名前で流行っていたらしい。当時は全国約15,000店ほどあり、売上げは日本円で約3兆円、しかも驚いたことに「24時間営業」だったとのこと。日本のように玉を打つ形ではなく、日本から卸した中古台の釘を抜いて、メダルを使って遊べるように改良したものだったらしい。

しかし、こんな中毒性の高い娯楽が24時間営業って・・考えられんな。。

韓国では、大統領の親族が金銭的に絡んだ政治事件に発展し、マスコミが徹底的に叩いて、国民もその意見を支持し、当局が動いて一気に全廃したようだ。この辺りのスピード感は韓国はスゴイ。日本も見習うべきところ。

で、一方の日本だが。。

パチンコ店舗数は韓国同様全国に約15,000店だが、なんと売上げは年間約21兆円!!なんだ?この金額は。。パチンコ店の業界大手「マルハン」の2010年3月度の決算では、売上げ高が約2兆円、経常利益が約600億円とのこと。経常利益率は3%ほどなのでそれほど割の良い商売ではないようだが、絶対額が大きすぎる。。それだけみんなお金を使っている(それだけ他のコトにお金使っていない)ということだ。

日本ではパチンコに絡むプレイヤーとして以下が挙げられる。
パチンコ店(経営者の8割が北朝鮮・韓国系で、2割が台湾・日本系とのこと)/メーカー/警察/政治家/マスコミ、そして当然一般国民。

パチンコの規制について「警察」は全く期待できない。天下り先なので。パチンコ店の認可も警察が、パチンコ台の検査も警察OBが多数天下ってる団体が行っているため、警察はパチンコ業界の既得権益者(ステークホルダー)なのだ。理由は「お金」。規制を行うはずが無い。

で、「政治家」だが、この国の「政治家」は本当に頼りにならないが、当然この件でも頼りにならない(笑)なるわけが無い。何故か?資金が回ってるから。理由は「お金」。わかりやすい。

そして、一番害が大きいのが「マスコミ」。韓国ではマスコミが報道したからこそ国民感情が盛り上がって全廃の道へ進むことができた。しかし、現在テレビなどで「パチンコ店」や「メーカー」のCMがバンバン流れている。日本のマスコミは「お金」をくれる団体の悪口は絶対にしない。自己規制する。クソである。ジャーナリストとしてのプライドが一切無い。大手メディアはとっとと潰れてしまえ、と心底思う。

最後に、パチンコを規制した方が良いと私が感じる理由を。。

私も最近までパチンコやっていた。今年2011年から思うところがありパチンコ断ちをしたのだが、だからこそハマる人の気持ちはわかる。単純に面白い。儲かると嬉しいし。だから「ギャンブル」自体は否定しない。そもそも、ビジネス(起業)なんてリスク覚悟でリターンを得る「ギャンブル」そのものなのだから。で、「ギャンブル」には中毒性がある。私はこれは直接規制の理由にはならないと思う。「タバコ」や「お酒」だけじゃなく、「ゲーム」やそれこそ「読書」など趣味的な事でも中毒性の高い行為は山ほどある。マラソンであればランナーズハイとか脳内麻薬出まくりの状態、「スポーツ」にも中毒性はある。

では、何故規制した方が良いと思うか?
人々の生活を破壊するから」である。

これは「何故、人を殺したらいけないのか?」という問いにも通じる答えだとは思うが、それが「共同体(コミュニティ)」を破壊するから、人々が安心して生活できなくなるから、「殺人」はどの国でも禁止されているのだ。

覚せい剤などの「麻薬」が禁止されてて、「タバコ」や「お酒」が禁止されていないのは何故か?
同じ理由だ。自分達の周りを見ればすぐわかる。「タバコ」好きで生活できない人がいるか?「お酒」好きで生活できない人がいるか?(もちろん、アルコール中毒までいくと別だが。。要は程度、絶対数の問題。)自分の周りにもタバコ好き、酒好きはいっぱいいるが、普通に会社に来て仕事をし、普通に生活している。しかし、「麻薬」にハマると普通の生活ができなくなる。だから禁止されている。

では、パチンコはどうか?

正直、まだ生活できるレベルだとは思う。麻薬などと違って自制はできるので。しかし、本書でも触れていたが、パチンコ店にATMが設置されるなど、最近明らかに常軌を逸してきている。私も最初見たときは引いた。「これってやりすぎでしょ?」と。それに、冷静に考えて、これだけ駅前に公営ギャンブル場が乱立してるのは異常。仮に韓国同様、24時間営業になってしまうと、確実に今よりパチンコで身を滅ぼす人は増える。現在のタガが外れたパチンコ店/メーカーのテレビCMの量や、政治家/警察の現状を考えると、そこまで日本は突き進んでしまうように感じてならない。

だから、「今のうちに」規制した方が良いと思う。

「そんなの、自己責任だ!」って論調も見かけるが、これは論外。
「スポーツ」も「お酒」も「タバコ」も、それこそ「麻薬」ですら、その結果は全て「自己責任」だ。「自己責任」ってのは、都合が良い思考停止ワードでしかない。

しかし、本当に最近の日本は「お金だけしか信じられない」国になってしまったように感じるなぁ。。誰も彼も自分の役割の本分を忘れて「自分の利益」のことしか考えていない。改善される兆しも見えない。

私はチャップリンの「夢と勇気とサムマネー」という言葉が大好きだが、お金なんて「サムマネー」で十分じゃないか?

この国には希望(未来)は無いのだろうか??
この本は事実を知る上ですごく良い本だったのだが、読み終わった後、かなり暗い気持ちになってしまった。。

2011年1月16日日曜日

Googleの正体

Googleの正体 (マイコミ新書)
Googleの正体 (マイコミ新書)
牧野武文氏の著書。

タイトル通りの内容。
とは言っても、Googleは実は「悪の帝国」だった!なんて雑な話ではなく、Googleの今後の戦略は何か?現在Googleが行っている各施策は何を目的として実施しているのか?を、Googleの過去/現在/未来を交えながら、本当にわかりやすく解説されている。これは良著です!!

まずは目次。
第1章 不気味なグーグル
第2章 富が湧き出す仕組み
第3章 拡大・成長のための最強の戦略
第4章 成り立ちから読み解くグーグルの姿
第5章 グーグルと私たちの未来

まず最初に、Googleがどんな企業か、またそのビジネスモデルは何か(何で利益を生み出しているか)、が解説されている。
このあたり、IT業界で働き、昔からGoogleサービスにお世話になっている自分としては、新しい情報も無くたいして面白くなかった。

この本の肝は、なんと言っても、第3章「拡大・成長のための最強の戦略」。
この章がこの本の全てと言ってもいいと思う。

基本戦略は以下の3つ。
・Googleの利用者を増やすこと
・それぞれの利用者にもっとたくさん検索してもらうこと
・検索した人が広告までクリックしたくなる回数を増やすこと

その上で、グーグルの成長戦略として以下が挙げられている。
1.トラフィックを買う
2.海外に展開する
3.インターネットを普及させる
4.モバイル利用を拡大させる
5.行動ターゲティング広告にシフトする

かなりシンプルな戦略。
世界人口「68億人」のうち、インターネットを利用できるのは「19億人」程度、「3.5人に1人」しかアクセスできない。残りの「2.5人」を如何にインターネットにつなげてGoogleを使ってもらうか・・Googleの戦略はこれに尽きる。「1検索辺り20セント~30セント(17~25円)」というビジネスモデルなんだから、母数を増やせば良い。至極当然の戦略。

昔からあるサービスGmail、Google Talk、Google Calendar、Google Documentなどをまとめた「Google Apps」や、「Google 日本語入力」、無料の「Chrome OS」や、最近日本でも流行りかけている「Android携帯」、自分は今まで気づいてなかったが、プロフィールにある「Web履歴」機能(これスゴイわ・・アカウント取られたらマジで趣味嗜好とか全部わかっちゃうわ。。)」など、たしかに全てこの目的に繋がっていると実感できる。

「プライバシー」や「著作権」問題など、乗り換えなければいけない壁はまだまだあるのだが、何十年も変化が無いこれらの概念に関しても、いずれ何かしら「変化」を起こすだろうと予感させる。。だから、Googleの動きは面白い!!!

最後の章で、Googleが善か悪か、Googleは今後「変節」するかどうか、的な問いかけがされているが、正直どっちでも良い。自分はそれを決定できる立場に無いので。選挙でGoogleのCEOを選ぶわけじゃないしね(笑)理念を掲げているとはいえ、基本は営利目的の企業なわけだし。その上で最適な策をGoogle社の人達が考えて実行してくれれば良い。

私は昔から、Gmail/Google Map/Google Calendar/Google Readerなどなど、Googleのサービスには大変お世話になっている。Googleが無いと生活できないくらい(笑)何より、IT業界で働く身として、理念を掲げ、それを実践しており、なおかつ儲かっている企業である、という状況が本当に羨ましい。プログラマーにとって最高に働きやすい、という環境作りや、仕事時間の20%は次のアイデアを生み出すための時間に充てるという20%ルール、Google EarthやストリートビューやGoogle Books検索などの新サービスなど、魅力的な要素がGoogleには本当にたくさんある。

しかし、一般の人には、Googleという会社が何をやっているのかよくわからない。
所詮ネット、実態の無いモノを売ってる怪しげな企業でしょ?なんて考えの人もまだいるのかもしれない。

そんな人がGoogleがどんな会社かを知るのに、またGoogleをよく知ってる人も、今後のGoogleの戦略を知るのに、本書は最適。日本では昨年2010年12月にYahoo検索がGoogleエンジンに完全に代わり、いよいよGoogle支配が強まってきた。ほぼ検索ポータルとして一人勝ち状態(・・独禁法に触れてると思うんだけどね。。)。

そんな今の状況だからこそ、読んでおいた方が良い。
ぜひ応援クリックお願いしますっ!!
↓↓↓
人気ブログランキングへ